保険毎日新聞 2017年9月1日版に、当機構が認定する「実利用者ユニバーサルデザイン」認証が保険業界に広がりを見せているという記事が掲載されました。


保険毎日新聞 2017年9月1日

実利用者研究機構 実利用者UD認証推進「利用者本位のサービス実現へ」

【1面 NEWS INDEX】
1面の『NEWS INDEX』にも掲載されました。

実利用者研究機構 実利用者UD認証推進「利用者本位のサービス実現へ」

【3面 記事掲載ページ】
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利用者本位のサービス実現へ

 

【3面 テキスト】

実利用者研究機構 実利用者UD認証推進「利用者本位のサービス実現へ」

提供者と利用者の盲点に着目

実利用者研究機構(NPO)が認定する「実利用者ユニバーサルデザイン認証」が保険業界に広がりを見せている。2015年のかんぽ生命を皮切りに、17年には住友生命と全労済が認証を取得した。一般より高いニーズを持つ利用者に実際に利用してもらうことで、改善すべきポイントを明らかにし、サービスの利便性と社会的価値の向上を図るというプロセスを含んだ同認証制度は、認証取得後に確かな結果を出すという。横尾良笑理事長は「保険業界は提供者と利用者の認識のギャップが大きい業界。フィデューシャリーデューティーの観点からも、認証制度を利用者本位のサービス実現の一助としてもらえたら」と展望する。

「実利用者ユニバーサルデザイン認証」は実際の利用者が製品・サービスなどを利用する際の行動観察調査を行い、情報が正確に分かりやすく伝わるまでの課題を発見し、その課題を取り除く改善プロセスを経て作成された製品・サービスなどに対して与えられるもの。
ユニバーサルデザインに関する認証制度は他にもあるが、他の制度が専門家による認証であるのに対し、同機構の認証は専門家ではなく、ニーズの高い利用者の心理や行動に基づいている点が大きな特徴だ。
ユニバーサルデザインというと、万人にとって使いやすいものというイメージがあるが、同機構では、提供者である企業が提供する特定のサービスに関心のある利用者に絞って利便性を検証している。
例えば、保険のパンフレットの認証であれば、保険加入を検討している一般消費者に実際に申し込み書を記入してもらい、その行動を観察して利便性を検証する。
こうした手法の背景には、ニーズの高い利用者にとって利便性の高いサービスこそが、提供者にとって意義のあるサービスになるという発想がある。
認証基準は、提供者が一連の作業を同一空間で一緒に観察体験し、盲点となっていた利用者行動を発見・共有していることと、2級UDコーディネーター資格を有する専門家が全てのプロセスに係わりサポートを行うことの2点。
認証の目的は、実際の利用者が困難に感じることや、提供者が実利用者に伝えたいことにフォーカスして、そこに至るまでの障害を一つ一つ取り除き、確実な成果に結びつけることにある。そのため、認証取得にあたり、企業にはサービスの改善プロセスから変革するだけの企業姿勢が求められる。
観察の中で明らかになる盲点は実にさまざまだ。「保険料」という言葉一つをとっても、それが支払う金額なのか、受け取る金額なのか、読み手によって受け取り方が変わってしまう。「お振込み」という表現にも同様の誤認を招く可能性がある。認証制度の実務に携わる同機構の岡村正昭CEOは「盲点は提供者側だけでなく、利用者側にもある。だからこそ観察のプロセスが重要なのだ」と強調する。
認証に至るまでの道は決して容易ではないが、その効果は歴然だ。ある金融機関ではウェブ上の申し込み書のダウンロード件数に対して、申し込みが1割しかないという課題を抱えていた。そこで利用者の行動を検証し、申し込みフォームを改善したところ、申し込み件数が9割に増加した。同時に記入漏れやミスも激減し、手戻りやフォローコールといったコストの大幅削減につながったという。スムーズな手続きは利用者にもメリットをもたらすため、顧客満足度の向上にも寄与する結果を生んでいる。
同機構の認証制度を支えるのは「ジツケン式」と名付けられたノウハウだ。横尾理事長が団体創設から15年にわたる経験の中で編み出した直感利用設計や心身負荷軽減設計、誤認誤使用防止設計といった、確かな知識に裏付けられた独自の開発手法が認証制度をゆるぎないものにしている。
同機構ではユニバーサルデザイン教育の浸透と品質向上のため、教育事業にも取り組んでおり、独自の知見を広く企業に提供している。同機構で学んだUDコーディネーターが自分の所属する企業にノウハウを持ち込み、サービスの改善を実現した事例は数多くある。横尾理事長は「保険業界には改善の余地が大いにある。良い先進事例をつくることで企業にUD文化を根付かせ、社会全体に波及させていきたい」と今後の活動に意欲を示す。

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